海 事 代 理 士 と は ?
海事代理士とは,海事代理士法1条により,「他人の委託により、別表第1に定める行政機関に対し、別表第2に定める法令の規定に基づく申請、届出、登記その他の手続をし、及びこれらの手続に関し書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)の作成をすることを業とする。」と規定されています。
海事代理士は,海事代理士法に基づき,他人の依頼によって,船舶登記や船舶登録,検査申請,船員に関する労務,その他海事許認可など,海事に関する行政機関への申請,届出,その他の手続き及びこれらの手続きに関し,書類の作成を代理・代行することを業とするものです。
身近な言葉で例えますと,海事版の,司法書士,行政書士,社会保険労務士というのが,分かりやすいと思います。それ故,国家試験も,憲法,民法,商法及び海事代理士が取り扱える法律の全ての法律の,合計18科目と多岐にわたります。
海事代理士は,国家試験に合格し,国土交通省への登録の完了をもって,海事代理士の資格を得て,業務を行うことが可能です。
海事代理士には,弁護士であれば弁護士会,税理士であれば税理士会のような,強制入会制を採用した士業団体は存在しませんが,海事代理士として活躍している海事代理士の多くは,一般社団法人日本海事代理士会に所属し,海事代理士の品位の向上,業務の改善進歩を図るとともに,公益事業活動の一層の推進,海洋政策への具体的かつ積極的な提言活動を行うことにより,海事産業の発展に貢献するよう努めています。
当事務所の代表海事代理士飯沼安彦も,一般社団法人日本海事代理士会の会員です。
海 事 代 理 士 に 依 頼 す る 『メ リ ッ ト』
1 個人のお客様の場合
個人の顧客様で,海事代理士に依頼する方は,多くは,海技免状・操縦免許証の保有者,船舶を所有されている(所有したい)方がほとんどだと思います。
海技免状・操縦免許証の取得や更新などは,教習所などでの対応が十分可能ですので,わざわざ海事代理士に頼む必要がないと思います。
しかし,船舶の所有者(所有予定)につきましては,海事代理士に依頼するメリットが多くあると思います。
(1)船舶を購入,売買,廃船する場合
船舶を購入する際には,売買契約書を作成します(売買契約書を作成せずとも,当事者の意思表示のみで契約は成立するのですが,後に紛争になったときのために。,売買契約書を作成すべきと思います。)
①『静(悩み)』が『動(前向き)』へ
海事の手続き等は,非常に難解で複雑です。時には,国内法だけではなく,条約も絡み合ってきます。
いったい,どのような手続きをすればよいのか,その根拠が何であるのかが分からず,悩むことが多くあると思います。
当然,悩んでいる期間は,事は進まず,その挙句には,やめてしまうのが多いと思います。
海事代理士は,海事法規の専門家ですので,法律に基づき,適確,迅速に対応することで,悩みを解消し,一歩踏み出せるお手伝いをすることができます。
②『コンプライス体制』の構築
弁護士,税理士,司法書士・・・など,陸における士業の数は,数万人いるにもかかわらず,海事法規の唯一の士業である海事代理士(一般社団法人日本海事代理士会所属の海事代理士)は,約370名程度です。
47都道府県で按分しますと,約7名となります。
陸と海とで企業の数などは違いますので,比較はできないですが,あきらかに少数です。
海事においては,陸に比べて,コンプライスが整備されていないことは否めません。
古くからの慣習等に基づき物事を進めたり解決することも大切な場面もありますが,その根拠は,法律,条約に基づかなければならないと思います。
専門家ではない,第三者の,言われるがままに手続きや行動を行うと,後々大きな問題が発生することがしばしばあります。
例えば,船員の労務問題,放置艇の問題,海洋汚染など,法律を知ずに対応してしまうと,罰則適用の対象となる場合があります。
そのような事態を未然に防ぐためには,コンプライアンス体制の構築が,必要不可欠です。
海事代理士に依頼することにより,コンプライス上問題となることはなく,海事代理士を顧問に持つことで,強いコンプライアンス体制を構築することができます。